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峰倉 かずや
一迅社
¥ 782
(2005-12-28)
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ハチ子ちゃんに歌劇伝DVDを見る前に絶対に読んだほうがいいと貸し付けられた最遊記外伝。
最遊記は昔から読みたいな〜見たいな〜と思っているうちにこんなところまで来てしまったのだけれど、いや〜外伝超泣きました。
一巻のあとがきのところに書いてあったのだけれど原本は悟空が天界で破天荒に暴れまわり釈迦如来に五行山に封印される前半と、三蔵一行となり旅にでる後半があるらしい。日本では三蔵一行が旅をする後半が主流だけど、中国では前半のほうが人気でウケがいいとか。わたしも後半のほうしか知らなかったけどこうしてみると前半のほうが興味あるなって。わたしお偉いさまにふんぞり返るみたいな話すごく好きで。だからこの外伝のお偉いさんに反逆試みる感じがすごい好きだった。
だいたい最遊記本編読んでないから舞台から得た淡すぎる知識しかない状態で臨んだんだけど、しょっぱなからずいぶんきれいな長髪の男が次から次へと出てくるのね。って思ってたらそのうちのひとりにおっぱいついてて思考停止した。で、よくよく考えてみたらここ天界だし女とか男とかない世界観なんだな!って思ってたら余裕でBBA呼びしてて……ただの露出狂だった()
悟空と金蟬の出会いのシーンで悟空が言った「すげーきらきらしてんな、たいようみたいだ」があまりにも完璧な口説き文句だったもんでわたしのいろんな細胞が沸騰しました。ありがとう悟空。
金蟬が名づけた『悟空』の名の由来が「目には見えぬ物を悟ることのできる者」って意味なのもグッとくる。この短時間でそう感じたのかそう願いを込めたのかはわかんないけど、悟空は心からやさしい子になってるよねって思った。
天蓬は最初おや?烏哭の前世出ちゃった?と思ったけど八戒かwwwwごめんwwww
だってほらヘビースモーカーだったから間違えちゃって。
そして捲簾。絶対好き。って思ったらやっぱり最強に好きだった不器用でかっこ悪い男は最後は最高にかっこよく散るんだよな。その法則知ってたはずなのにだいぶ惚れ込みました。ケン兄ちゃん愛してるッス。
峰倉先生は金蟬たちと三蔵たちは全く持っての別人だって言ってたけど、でも記憶はないだけで転生はしてるのかなあってぼんやり。
そうじゃないとやっぱり最後の出会いと運命論的になしになっちゃうしね。記憶はないけど太陽の色だけは変わらなかった的な。
金蟬はもちろん捲簾も天蓬も悟空と出会っていろんなものを変えれて、いろんなものを与えられ刺激されたよね。
だからあの夜が訪れた。とても残酷な夜だった。どうして正しいものが葬られなければならないのか。自分の地位を守るためだけに力と権力を使う輩は大嫌いだ。だからそこに乗り込み挑む勇者は心のそこから応援したくなるよな!
ナタクが自害するところにはいろいろ思うところがありました。悔しさと怒りそれから大きな悲しみ。悟空にとっての初めての離別だったしましてや初めての友達とあらば悲しみゲージMAXになるのは徒然の結果で。てかナタク普通の人だとは思ってなかったけどまさか人造人間だったとはね。ナタクの父親(仮)は自分の出世と地位しか考えてないクソ野郎の鏡だったな。どうしてあの時とどめさしといてくれなかったんだ悟空よ……。こいつさえ仕留めとけば悟空と金蟬だけでも下界に降りられてたらあのふたりがどれだけ救われたことかって……闇。
悟空と金蟬の関係性もすごく好きだけど、わたしは天蓬と捲簾のふたりの上司と部下以上友達未満な関係がとても好きで。なんだろうお互いを信頼し見えない絆で繋がってて言葉だけですべて察する存在って偉大すぎる。原作でも言われてるけど、これはホモって言われてもしかたねーな。だって完璧だもの。
てか捲簾がいい男すぎるんだよな。あんな外見してるのに世話焼き女房って萌えすぎなんだけど。あ、だから現世で逆に八戒が悟浄の世話焼き女房してるのかな……なにそれやばい。幸せしかなくて顔ゆるむ。
悟浄と八戒が初めてであったとき八戒は悟浄を見て笑った気がしたっていうのは本当に髪の色、戒めの色にだったのかなって深読みする。本当はぼんやりでも微かにでも懐かしさみたいなものを感じてたんじゃないかって思うんだが。てかそうであってほしい。
それ確かめたすぎて早く原作読みたい。
あたしさよならは言わねーよスタイル大好きでそういうの心底かっこいいなって感じる人種だから捲簾の最後がかっこよすぎてだな。だいたい最初に囮になるってところからフラグ立ってたけどもここまでバットエンドとはね。でも捲簾は完璧に男に中の男すぎてしんどい。戦い方も乱暴で説教臭くて力強くて、誰よりも不器用で泥臭くてかっこいい。うう、やっぱり好きでした捲簾。
そして「またあとでな」ですべて察して二つ返事で先に進む天蓬清すぎ。最後のときも天蓬は捲簾を思ってるってすごいことだよね。「…待たせ、しました」にすごい泣いた。
天蓬無双のシーンまさに鬼って感じですごくかっこいい。足が床を滑る絵、人を殺める眼、躍動感のある動き。恐ろしいシーンなはずなのにこんなにもすべてが美しい。床に崩れるところさえも完璧で鳥肌がっ立った。もちろん泣いてるしな。
でもここまでですでに大泣きしてたんだけど下界への門のセキュリティがカード式のパスワード入力ってのでワロタ。そこはなんかもうちょっとSFぽくしてもよくね?って腹筋死んだ。まあすぐ息詰まったけど。
桜の花言葉に「わたしを忘れないで」という意味があるというのですが、その言葉を踏まえて読み返すと後半からはもう涙で先に進めなくて困りました。
金蟬は悟空に出会ってたくさんのことを知った。退屈な毎日が変わった。大切なものができた。暗闇の中に光が見えた。
この二人には本物の愛を感じました。自分の命よりも尊いものを見つけられることって素晴らしいことだよね。
出逢えてよかった。出逢ってくれてありがとう。生まれてくれてありがとう、孫悟空。
ああ、運命ってすごい。ありがとう世界。